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日本の都市圏における熱中症搬送者数は2040年に2倍の可能性 ~人口減にもかかわらず、高温化、高齢化で搬送者数の増加~

カテゴリ:プレスリリース|2024年04月18日掲載


発表のポイント

〇 2040年(全球平均2℃上昇)を仮定した504パターンの1日ごとの気象条件に対する熱中症搬送者数の予測
〇 東京、大阪、愛知における熱中症搬送者は、現在と比較して約2
〇 今後、人口は同等または減少に推移するものの気温上昇および高齢化が影響
〇 短期的な暑熱順化の影響を考慮
〇 梅雨明け(7月下旬)から8月上旬に搬送者が増加

概要

 名古屋工業大学大学院工学研究科の平田晃正教授(工学専攻(電気?機械工学領域)および先端医用物理?情報工学研究センター長)、小寺紗千子准教授(工学専攻(電気?機械工学領域))、植田晴大(研究当時:工学専攻電気?機械工学系プログラム)、松浦竜也(工学専攻創造工学プログラム)と海洋研究開発機構の研究グループは、2040年(全球平均気温2℃上昇)を仮定した気象条件に対し、日々の熱中症搬送者数の推移を予測しました。その際、日々の気温の推移を予測することで、短期的な暑熱順化(暑さなれ)を考慮しています。分析の結果、日本の大都市圏の人口は同等からやや減少するにもかかわらず、平均気温の上昇および高齢化のため、2040年の搬送者数は2010年に比べて約2倍と推定されました。猛暑日には医療資源がひっ迫する可能性があり、医療体制の整備および熱中症に対する普及啓発活動が求められます。本内容は、Elsevier社Environmental Research 2024年4月号に掲載されたものです[1]。

研究の背景 

 近年、地球温暖化やヒートアイランド現象の影響で気温が上昇しています。環境省によると、日本の年平均気温は過去100年間で約1.2℃上昇していると報告されています。また、IPCCによる最も気温上昇が高いシナリオ(RCP8.5)では、2100年までに2.6-4.8℃高くなると予測されています[2]。このような背景から、熱中症による搬送人員数は増加すると想定され、今後のリスク低減に向けた対策が求められています。2022年のCOP27では、平均気温上昇1.5℃目標を重視することに各国が合意しています。
 熱中症は、体内における熱バランスの崩れにより発症します。高齢者は、発汗などの体温調節機能が若年者に比べて低下していることから、重症化率が高くなっています[3]。2021年の日本国内における熱中症による搬送者数は47,877人であり、そのうち高齢者が56.3%を占めています[3]。地球温暖化による気温の上昇と高齢化の2つの要因により、日本では熱中症の搬送者数はさらに増加することが予想され、救急搬送体制の逼迫が懸念されています。
 名古屋工業大学の研究グループでは、数値人体モデルを用いた体内温度上昇及び発汗量解析手法を開発[4]し、解析で得られた一日あたりの最大体内温度上昇、発汗量を用いた熱中症搬送人員数予測式を提案してきました[5]。海洋研究開発機構は、データ統合?解析システム(DIAS)にて公開されている将来の気象予測データSI-CAT DDS5TK[6]を用いて、追加的な緩和努力を行わないと仮定した場合の、日本の3都府県(東京都、大阪府、愛知県)における2040年(近未来2030~2050年頃。図1参照)に相当する全球2℃の気温上昇を推定しました。超高齢化社会において将来必要とされる医療資源の推算が求められる中、上記2つの技術を融合することにより熱中症搬送者数を推定しました。

press_hirata.jpg

図1 (a) 東京、(b)大阪、(c)愛知における2040年相当の7月から8月の外気温の推定値

研究の内容

 図2に示すように、2040年代の熱中症搬送者数は、2010年代(2013~2019年)に対して増加しており、特に、梅雨明け(7月下旬)から8月上旬に熱中症搬送者が増加することがわかります。表1は、2040年代における1日当たりの熱中症搬送者数の7-8月平均値とピーク値を示したものです。また、参考に2010年代の報告値も示しています。表から、平均熱中症搬送者数は、2040年代には2010年代の平均値よりも2倍程度増えると予測されました。

press_hirata2.jpg

図2 将来の気象データを用いた熱中症搬送者数推定値。(a)東京、(b)大阪、(c)愛知

 

表1 東京都、大阪府、愛知県における2040年代の熱中症搬送者数推定値

2040年代(人/日)

2010年(人/日)

平均 (95%CI)

最大

平均

東京

132.9 (51.9-213.8)

250.7

65.8

大阪

105.3 (47.6-162.9)

194.3

59.0

愛知

105.4 (41.3-169.5)

177.8

54.8

社会的な意義

 今回推定した通り、2040年ごろに1日当たりの熱中症搬送者数が2倍になった場合、真夏日には医療資源がひっ迫する可能性があります。今回の推定結果を参考に、将来の熱中症搬送者数の増加に備えて、医療体制の整備および熱中症に対する普及啓発活動が求められます。

参考

A. 将来の人口動態[7]のみを考慮した場合、2015年の熱中症搬送者数に対する増加率を表Aに示す。平均気温は現在と同等で高齢化のみが進んだと仮定した場合、2040年代の熱中症搬送者数は1.2倍程度に増加することがわかる。

表2 東京都、大阪府、愛知県における2015年の熱中症搬送者数に対する増加率

2020年

2030年

2040年

2050年

東京

1.05

1.15

1.21

1.29

大阪

1.05

1.15

1.13

1.13

愛知

1.05

1.17

1.20

1.13

B.熱ストレス
 東京都における2040年相当(全球2℃上昇、都市圏では1.5℃上昇)の外気温を用いて、ヒトモデルに対する複合的な物理条件、生体の温熱生理を考慮した混成熱解析により算出した総発汗量、深部体温の平均値と95%信頼区間を図Aに示す(n=504)。図2より、平均気温が1.5℃上昇したシナリオにおいて、平均的な日本人が日陰で過ごした場合、1 日の総発汗量は平均で963.1g (95%CI: 445.8-1480.3) 、深部温度は、平均で0.168°C (95%CI: 0.083-0.253) 上昇する結果となった。2040年代では、特に暑くなる8月初旬には1日あたりの最大発汗量は1875gにも達する。これは、2013~2019年と比較しておおよそ2倍の量に相当し、追加的な緩和努力や対策を行わない場合には熱ストレスが増加することが想定される。

関連文献

[1] H. Ueta, S. Kodera, S. Sugimoto, A. Hirata, "Projection of future heat-related morbidity in three metropolitan prefectures of Japan based on large ensemble simulations of climate change under 2° C global warming scenarios," Environmental Research, vol.247, art no. 118202, 2024.
[2] A. Woodward, Wiley Online Books, pp. 26-37, 2022.
[3] 日本救急医学会, 日救急医会誌, vol. 23, no. 5, pp. 211-230, 2012.
[4] S. Kodera et al., Environment International, vol. 130, no. June, p. 104907, 2019.
[5] T. Kamiya et al., International Journal of Environmental Research and Public Health, vol. 16, no. 24, 2019.
[6] T. Yamazaki et al., Journal of Advanced Simulation in Science and Engineering, vol. 38, no. 3, pp. 145-149, 2019.
[7] 国立社会保障?人口問題研究所,『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』. [Online]. Available: https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp

お問い合わせ先

研究に関すること

名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(電気?機械工学領域) 教授
先端医用物理?情報工学研究センター センター長 
平田晃正
TEL: 052-735-7916 
E-mail: ahirata[at]nitech.ac.jp

広報に関すること

名古屋工業大学 企画広報課
TEL: 052-735-5647       
E-mail: pr[at]adm.nitech.ac.jp

*それぞれ[at]を@に置換してください。


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